用途別に分けると置・掛・釣、取り扱い上の約束によって分けると真・行・草に分類される花入は、材質・形状により非常に多くの種類がありますが、その中でも特に注意が必要なのは、竹の花入です。
竹の花入はまず、風に要注意です。無風状態で陰干ししてやらなければなりません。風にあてると、すぐ割れてしまいます。この頃はみなさん、古い竹などには気を付けて、「落し」と呼ばれる受け筒を花入の中に置き、そこに水を入れるなどの工夫をされていますが、どうしても花に露打ちをしないわけにはいかず、水分は直接竹の地肌にあたっていますので、やはり使用後には風の通らないところで陰干しをします。
特に、竹そのものに水を入れた場合には、柔らかい紙などを用意して、水分を吸い取るよう中に入れ、二、三日たったらそれを取り、こんどは本体を陰干しします。花入の中でも一番乾きにくく乾かしづらいのが竹なのです。
ただ、風が通らないからといって安心はできません。竹というものは自然な状態、常温の部屋では大丈夫ですが、冷暖房、特に冷房がきいた部屋などで乾燥させるとすぐにひび割れてしまいます。乾燥させすぎるのも良くないのです。また、まれに虫喰が起こることもあります。竹の中の柔らかいところだけを荒らす虫がいるのです
が、なかなか分かりにくく、かといってこればかりは対処のしようがありません。いずれにせよ、我々が一番気をつけなければならないのは、竹の花入です。
籠の花入は、特に気をつかわなくても大丈夫です。当然落しを使い、あまり水にもぬれず、また、くるいも少ないからです。ただ、埃だけには気を付けます。竹と同様に紙をつめ、何度か入換えながら三、四日置くと自然に乾きます。唐銅でできたものも神経質になる必要はないでしょう。あまりくるわないからです。
陶器の場合は、丸一日水を入れているわけで、何日もお茶会が続くこともあり、たいてい水を吸っているものです。
磁器はあまり水は吸いませんが、やはり水は残るので、口が平たいものはしばらく逆さに置いておきます。そうしないと、水垢が付いてしまいます。陶器、磁器いずれも、保管に際して乾かす前にはぬるま湯で洗います。ただ、強くこすってはいけません。ある程度のよごれを取るという意味で軽くお湯で洗うのです。本来ならお湯
も使わない方が良いのですが、手の脂や、よごれを取るためにはお湯を使うのが良いでしょう。
磁器にはあまりありませんが、陶器などに落款がある場合は気を付けなければいけません。そういったものは直接洗わず、しめった布でやさしくたたきます。
また、よごれに関しては唐銅のものについても注意が必要です。脂、手垢がつきやすく、そのままお湯ぶきもせずに保管すると、白い濁が出てきてしまいます。唐銅のものもお湯ぶきが必要といえます。
お湯洗いをすませたからといって安心は禁物です。花入を乾かすのは当然ですが、茶会が花入の保管場所から離れて行われたときなど、濡れた花入のせいで箱と包みがしめり気を帯びることもあります。箱も包みも、花入といっしょに十分に乾かす必要があります。
瓢の場合も落しを必ず使いますし、使用する時季も短いので、特に気をつけることはありません。ただ、瓢は露を打つとシミが出ます。特に新しいものは出やすいのですが、それが味といえば味とも感じられます。あとは虫に気をつけて、時間をかけて陰干しすれば良いでしょう。
花入