水指

 水指は台子皆具の一つとして本来は唐銅でしたが、点前の変遷とともに、現在は銅、陶磁、木竹工品の三種類に分けられます。

 焼きものの水指を使用する場合、特に昔のもので焼きが甘いものや土焼きのものなどは、前もってある程度水を含ませるようにします。土焼きのものでも比較的新しければ、水が漏れたりはしませんが、それでも使用する前に一度は水を含ませるよう心懸けましょう。何年も使用していなかった水指は特にその必要があるといえます。乾燥しきった状態でいきなり水を入れると、席中で水が漏ってきたような状態になることがあるからです。釉が掛けてある場合でも底まで掛けていないものもあり、注意が必要となります。仁清風の薄く焼いたものなどです。

 水指を使用する前にまず全体に水をかけて清め、しばらく水を入れておくのはむしろ常識といえます。備前、信楽、丹波などは、水を含んだ状態のものが喜ばれたものです。花入には露を含ませるために、霧吹きで水をかけることがあります。水指でも丹波や伊賀、備前など、しっとりとした方が趣が良くなるときは、同様に露を含ませるようにします。また、水指によっては使い方により、水屋で水を含ませ、濡れたままの状態で使用することもあります。

 木地の場合、やはり曲や釣瓶など、特に前もって水屋で水を含ませるようにします。生木地のものなので、くるいが生じやすいからです。またこの場合、前もって水に慣らさずにいると、本当に水が漏ってしまうこともあります。最近でこそ隅々まで漆を塗ってあるものがありますが、菊の置上げが施されたものや内部に切箔が置かれたものなどは、通常とは違った注意が必要です。水を含ませなければいけませんが、無造作に装飾されている部分に水をかけるわけにもいかないのです。普通に蒔絵がしてあるものは良いのですが、特に菊の置上げのものは外側に施されてある菊の紋様に水がかかることは避けなければならず、使い方が難しいのです。

 水指を使用した後は、材質によって違ってきますが、一日水を含ませた後なので、カビがでないように、十分に乾かします。磁器や陶磁器は拭いた後丸一日陰干しすれば乾くものですが、南蛮やハンネラ、備前や信楽など素焼きに近く水を含みやすいものは、一週間程度はかかるものです。完全に乾いたかどうかの判断は、水指の状態を見ながらするわけですが、私どもは軽くたたいてその状態を見極めたりします。が、この方法は一般的ではありません。御本人の判断で乾かす期間をみていくしかないでしょう。一つの基準として、やはり一週間程度というところです。乾かす場所としては、蔵の中は安全ですが乾きにくく、床の周辺も人通りがあるときには危険です。人があまり出入しない場所、使用しない日の茶室などが無難です。焼きものは、多少風にあたってもだいじょうぶなので、そういったことも考えに入れて乾かす場所を選びましょう。ただ、木地のものは竹の花入と同様に、風にあてるのは避けなければいけません。風にあてると、ヒビが入ったりするからです。

 水指を拭くときには、柔らかな布で拭くようにしますが、古いもので耳が付いているものなどは、水を吸って柔らかくなっていますので特に注意しましょう。また、保管するときには、鐶が付いているものは、風炉や釜と同様鐶に布をまき、地肌を保護するよう気を付けましょう。共蓋と替蓋が二枚あるときは別々に、間に何か挟んでお互いがぶつかることのないように保護し、蓋と水指本体は別々に仕舞うよう心懸けます。

 最後に水指の運び方ですが、片手で持たないよう気を付けましょう。水が入っていないと片手で縁を持ったりしがちです。手付の場合も手を持たず、点前中のように下から抱えて持った方が良いでしょう。




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